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佐藤伸夫美術館


1月11日、念願叶い、柏崎市にある国立新潟病院内佐藤伸夫美術館を訪問。

佐藤伸夫さんは2歳の時に、筋肉が次第に変性萎縮し運動機能が失われていく難病・筋ジストロフィーと診断された。

失意を乗り越え、絵を描くことに生きる希望を見出していく中で、病院長をはじめとした周囲の人たちのサポートにも恵まれ、2014年に国立新潟病院内に佐藤伸夫美術館を開館するまでに至る。

 

佐藤さんとの出会いは、2年ほど前、FACEBOOKを通じてのこと。

佐藤さんの絵、特に抽象絵画には、書芸に通ずるところがあり、実際、書もよくされていたが、書家のような習いグセやカッコつけを感じさせぬ、まさに氏の命のままであって、「いまのしごとはいきること」と書かれた言葉書きの書からは、借りモノの言葉ばかり書いている類の書家には及びもつかぬような命の輝きと魂が感じられる。

その佐藤さんが一昨年、「一緒に書芸をやりたい」FACEBOK上でコメントをくださった。が、ちょうどコロナ禍による騒動で世間が騒がしくなり出し、それが治まったら、ぜひご一緒させていただきたいと、自分も楽しみにしていたところ、その願い虚しく、佐藤さんは昨年の8月に逝去されたのだった。

その後、佐藤さんと親交のあった柏崎の松島孝栄さんが、佐藤さんの生前の願いを叶えるべく、私の作品を数点持って行って、佐藤伸夫美術館に佐藤さんの作品といっしょに飾ってくださり、この日、ようやくその現場を見せていただくことができた次第である。

 

佐藤さんとは、リアルでは一度もお目にかかることが叶わなかったが、このたび、作品を通して、その旺盛な生命力と魂の輝きとを十二分に感じさせていただくことができた。

死とは魂がこの世界を離れ、別の次元にいくことだと思っている自分にとって、佐藤さんもまた一足先に行かれただけで、いまも作品を通して私たちと繋がっているのを感じる。作品に込められた芸術家の魂は、永遠に不滅なのである。



佐藤伸夫さんの書額(上段)とSOGENの色彩を使った抽象アート(下段)

画家と書家が逆転したみたいで面白い。


元々の佐藤さんの絵には、やさしくほんわかした感じのものが多い。

場所も時も分からぬような絵の中に、永遠を見る。


書芸の精神にも通ずる、佐藤伸夫さんの抽象アートの世界


先に紹介させていただいた筋ジストロフィーの画家、佐藤伸夫さんの兄の佐藤恒夫さんは知的障害を持ち、弟の伸夫さんに触発されて絵や書を描き始めたそうですが、国立新潟病院内の佐藤伸夫美術館には、その恒夫さんの作品も一緒に飾られていました。

抽象と具象の狭間にあそぶかのような恒夫さんの絵画群もまた、書芸の精神に通じており、海外の具象、抽象アートに勝るとも決して劣らぬその存在感には、強く惹きつけられるところがありました。


佐藤伸夫美術館は、病院内の部屋を3室も使って作られてます。

これは難病の人が頑張ってるから、といった同情からだけではなく、佐藤さんの作品世界に人々を惹きつけてやまない芸術的な魅力があるからだと思います。
興味のある方は、ぜひこんど行ってみてください。
新潟病院は柏崎の赤坂公園の隣りで、土日祝日以外は8:30から17:00まで開いており、無料で見ることができます。